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いちばのみらい
業務標準化

市場会計の属人化を防ぐ方法

市場会計が特定担当者に依存しやすい理由と、標準化・チェックリスト・例外管理で属人化を防ぐ方法を紹介します。

約10分 いちばのみらい編集部

市場会計は属人化しやすい業務です。取引先ごとの締め日、品目の呼び方、値引きの扱い、例外的な請求方法など、経験がないと判断しにくい情報が多いからです。

属人化そのものは、必ずしも悪いことではありません。ベテラン担当者の経験があるからこそ、繁忙時間帯でも現場が回り、取引先ごとの細かな対応も続いています。問題は、その判断が会社に残らず、担当者が不在になった瞬間に業務が止まることです。

厚生労働省は、高年齢者雇用対策として65歳までの雇用確保義務や70歳までの就業確保努力義務を整理しています。現場ではベテランの力を長く活かすことが重要になる一方で、経験を次の担当者へ引き継ぐ仕組みも必要です。

属人化を会社の知識に変える流れ

属人化はなぜ市場会計で起きやすいのか

属人化を防ぐには、最初に「何がその人だけの判断になっているのか」を分ける必要があります。市場会計では、通常の入力作業よりも、例外判断や確認の順番に属人化が残りやすくなります。

取引先ごとの違いが多い

市場の取引では、取引先ごとに締め日、請求書の出し方、値引きや返品の扱いが違うことがあります。

こうした違いは、長く担当している人には自然に見えます。しかし、後任者にとっては「どこに書いてあるのか分からない情報」です。取引先ごとの違いが一覧になっていないと、請求漏れや確認戻りにつながります。

品目や単位の呼び方が現場ごとに違う

品目名、箱数、重量、単価の扱いも属人化しやすい部分です。

同じ品目でも、現場の呼び方、伝票の表記、会計上の名称がずれることがあります。ベテラン担当者は経験で補えますが、入力ルールが見えないままだと、担当者が変わったときにミスが増えます。

確認の観点が頭の中にある

締め前にどの取引先を重点的に見るか、どの金額が異常に見えるか、どの伝票は必ず確認が必要か。こうした観点は、マニュアルよりも担当者の頭の中に残りがちです。

会計ミスが起きやすい地点は、魚市場の会計業務でよくあるミス5選でも整理しています。

まず業務の流れを分解する

属人化対策の第一歩は、業務を大きな工程に分けることです。

工程を6つに分ける

市場会計であれば、まず次のように分けます。

  1. 伝票の回収
  2. 売上入力
  3. 金額確認
  4. 締め処理
  5. 請求書発行
  6. 入金確認

工程ごとに、担当者、使う資料、確認ポイント、例外処理を書き出します。この時点では、きれいなマニュアルにする必要はありません。まずは「何をしているか」を見えるようにすることが目的です。

人ではなく役割で書く

業務フローを書くときは、担当者名だけで書かないようにします。

「田中さんが確認する」ではなく、「締め確認担当が確認する」と書きます。小さな会社では同じ人が複数の役割を持つこともありますが、役割を分けて書くと、どこで判断が必要かが見えやすくなります。

使う資料も一緒に書く

工程だけでなく、使っている資料も書き出します。

  • 手書き伝票
  • Excel台帳
  • 会計ソフト
  • FAX
  • 電話メモ
  • 取引先別の例外一覧

資料の置き場所が曖昧な場合、それ自体が属人化の原因です。

例外処理を一覧にする

属人化の多くは例外処理にあります。通常ルールではなく、特定の取引先だけ違う処理をする場合、その理由と判断基準を残します。

例外一覧に入れる項目

例外一覧には、次の項目を入れると実務で使いやすくなります。

  • 取引先名
  • 例外の内容
  • その例外が必要な理由
  • 判断基準
  • 確認先
  • 過去の対応例
  • 最終更新日

重要なのは、例外をなくそうとしすぎないことです。市場業務では柔軟な対応が必要な場面があります。例外をなくすのではなく、誰が見ても判断できる形に変えます。

過去のミスも一緒に残す

過去に起きた請求漏れ、入力ミス、確認戻りは、次の担当者にとって重要な情報です。

ただし、担当者を責める形で残す必要はありません。「なぜ起きたか」「次はどこを見るか」を残します。ミスの記録を改善の材料に変えることが、属人化対策では大切です。

属人化を減らすために残す情報

チェックリストで確認品質をそろえる

締め前の確認を人の記憶に頼らず、チェックリストで進められるようにします。

毎回見る項目を固定する

最初に固定するのは、毎回見る項目です。

  • 未回収伝票
  • 数量の異常
  • 単価変更
  • 値引き
  • 返品
  • 請求先の変更
  • 締め日の違い

チェックリストは細かすぎると続きません。最初は10項目以内に絞り、運用しながら見直すのがおすすめです。

使う場面ごとに分ける

チェックリストは、1枚にすべてを詰め込むより、使う場面ごとに分けます。

  • 伝票回収時に見るリスト
  • 入力後に見るリスト
  • 締め前に見るリスト
  • 請求書発行前に見るリスト

使う場面が明確なチェックリストほど、現場で開かれやすくなります。

引き継ぎ資料は使う場面から作る

分厚いマニュアルを作っても、現場で開かれなければ意味がありません。引き継ぎ資料は「いつ使うか」から考えます。

退職前に聞くことを決める

ベテラン担当者に「全部教えてください」と聞くと、聞く側も答える側も大変です。

朝の処理、伝票確認、締め作業、取引先対応、トラブル対応、月末処理など、場面ごとに聞くと情報を引き出しやすくなります。退職前に何を聞き出すべきかは、ベテラン社員が退職する前にやるべきことでも扱っています。

後任者が試す時間を作る

引き継ぎは、説明を受けただけでは完了しません。

後任者が一人で作業し、ベテラン担当者が横で確認する時間を作ります。この段階でつまずいた箇所こそ、資料に追記すべき重要ポイントです。

ツール導入の前に標準化する

会計アプリや音声入力を導入する場合も、標準化が先です。入力項目や確認ルールが決まっていないと、ツールの中に属人化が移るだけになってしまいます。

経済産業省のDX関連資料では、DXを単なるIT導入ではなく、デジタル技術を活用してビジネスや組織を変革する取り組みとして扱っています。市場会計でも同じで、先に業務の流れを整理し、それを支える形でツールを使うことが重要です。

標準化の考え方は、市場業務の標準化とはでも詳しく整理しています。

小さく始めるなら

まずは業務の流れと例外を見える化し、誰でも同じ確認ができる状態を目指しましょう。

小さく始めるなら、次の順番がおすすめです。

  1. 会計業務を6工程に分ける
  2. 工程ごとの担当者、資料、確認ポイントを書く
  3. 取引先ごとの例外一覧を作る
  4. 締め前チェックリストを10項目以内で作る
  5. 後任者が一人で試す時間を作る

市場会計の属人化をどこから整理すべきか迷う場合は、現状の業務フローと例外処理を一緒に確認できます。お問い合わせから、課題整理としてご相談ください。

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