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いちばのみらい
市場会計

水産仲卸の取り置き|売る前に得意先のために品を取り置いたとき、帳面でどう残すか

水産仲卸で売る前に得意先のために品を取り置いたとき、取り置き品を売上にも普通の在庫にも数えず、誰の取り置きか、品と数量、いつまで置くか、引き取られたか戻したかを分けて残す見方を整理します。

約8分 いちばのみらい編集部

店に並べた品のうち、なじみの得意先から「明後日まで取っておいて」と頼まれ、売る前にその得意先のために品を取り置くことがあります。品はまだ店にあり、代金もまだ受け取っていません。けれども、ほかの得意先には売れない品です。帳面を開くと、取り置いた品が取り置いた日の売上に入っていたり、普通の在庫の数に入ったまま、誰の分なのか書かれていなかったりします。得意先の品を預かっているときは、水産仲卸の預かり在庫|得意先の品を預かっているとき、自社在庫と何を分けて残すかです。預かり在庫はすでに得意先のものになった品で、取り置きはまだ売っていない自社の品なので、持ち主が逆です。棚卸で帳簿と実在庫がずれたときは、水産仲卸の棚卸|棚卸で帳簿と実在庫がずれたとき、何を分けて残すかです。ずれが見つかったあとの残し方には入りません。注文した品が足りないときは、水産仲卸の欠品|注文した品が足りないとき、何を残すかです。取り置いた分で普通の在庫が減っても、欠品の残し方の話には広げません。電話やFAXの注文を確定前と確定後に分けて扱う話は、水産仲卸の受発注を整理する|電話・FAX・口頭注文の『確定前・確定後』管理です。注文の受け方の話で、ここでは取り置いた品を帳面にどう置くかだけを見ます。この記事で見るのは、売る前に得意先のために品を取り置いたとき、帳面でそれをどう残すかです。

取り置いた品は売上にも普通の在庫にも数えず、誰の取り置きか、どの品をいくつ取り置いたか、いつまで取り置くか、引き取られたか普通の在庫に戻したか、の四つを分けて残す、です。人が雑だから混ざるのではありません。取り置いた人は、得意先の顔も品も分かっているので、わざわざ書かなくても覚えていられると思っています。けれども、取り置いた品が普通の在庫の数に入ったままだと、ほかの担当はその品を売れる品だと思って売ってしまいます。取り置いた日の売上に入れてしまうと、引き取られなかったときに、売上をどこで取り消すのか分からなくなります。取り置き品は、まだ売っていない自社の品で、同時に、ほかの得意先には売らない品です。この二つを同時に読める場所が、取り置きの行です。

売る前に得意先のために品を取り置いたとき、帳面でどう残すか

売る前に得意先のために品を取り置いたとき、帳面でどう残すか

売る前に得意先のために品を取り置いたとき、帳面でどう残すか、がこの作業です。見るのは、取り置いてよいかどうかや、得意先との約束の決め方ではありません。自社の帳面で、取り置いた品が売上とも普通の在庫とも別の行に置かれ、誰の分で、いくつで、いつまでで、最後にどうなったかが読めるかです。取り置いた人が「あの6尾は割烹ひさごの分」と覚えていても、帳面に書かれていなければ、その人が休んだ日には誰にも分かりません。

数字で見ます。2026-10-25の朝、自社の店にはタチウオが13尾ありました。得意先の割烹ひさごから電話があり、「2026-10-27まで、タチウオを6尾取っておいてほしい」と頼まれました。値段は1尾2,470円で話がついています。自社は、店のタチウオ13尾のうち6尾を、割烹ひさごの分として取り置きました。

取り置いたあとの普通の在庫は、店にあるタチウオ13尾から取り置いた6尾を引いて、13−6=7尾です。取り置き分の品代は、1尾2,470円の6尾分で、2,470×6=14,820円です。取り置き分の品代14,820円は、割烹ひさごが引き取ったときに自社が売上に入れる予定の額で、取り置いた2026-10-25の時点では、まだ売上に入れません。代金も、まだ受け取っていません。

帳面には、行を二つ立てます。一つめは普通の在庫の行で、タチウオ7尾です。ほかの得意先に売ってよいのは、この7尾です。二つめは取り置きの行で、割烹ひさご、タチウオ6尾、取り置き分の品代14,820円、期限2026-10-27、と書きます。この行の6尾は、普通の在庫の7尾にも、2026-10-25の売上にも入れません。店にある13尾は、普通の在庫の7尾と、取り置きの6尾に分けて読みます。

取り置きのその後は、二通りです。割烹ひさごが期限の2026-10-27までに6尾を引き取ったら、自社は引き取られた日にタチウオ6尾を割烹ひさごへの売上に入れ、取り置き分の品代14,820円を売上の額として書きます。取り置きの行は消さずに、引き取られた日と「引き取り済み」を書き添えます。期限を過ぎても引き取られず、取り置きをやめると決めたら、自社はタチウオ6尾を普通の在庫に戻します。その間に普通の在庫の7尾から売れた分がなければ、普通の在庫は7+6=13尾に戻ります。取り置きの行は消さずに、戻した日と「普通の在庫に戻した」を書き添えます。取り置き分の品代14,820円は、売上には入れません。会計上の扱いは税理士に確認してください。

判断のポイントは、取り置きを受けるかどうかや、期限をどう決めるかではありません。預かり在庫、棚卸、欠品、注文の受け方の話にも入りません。見るのは、取り置いた品を売上とも普通の在庫とも混ぜず、取り置き先、品と数量、期限、最後に引き取られたか普通の在庫に戻したかが、自社の帳面で読めることです。

取り置いた品を、取り置いた日の売上に入れない

悪い例を一つ見ます。2026-10-25に6尾を取り置いた時点で、自社の事務が、タチウオ6尾と取り置き分の品代14,820円を、割烹ひさごへのその日の売上に入れてしまったとします。売上の一覧の上では、話のついた値段と額が合います。けれども、割烹ひさごはまだ6尾を引き取っておらず、自社は品を渡していません。期限までに引き取られなかったら、入れてしまった売上をどの日に、どう取り消すのか、帳面からは読めません。割烹ひさごに月末の請求を出したとき、引き取っていない6尾の分まで請求に入っていれば、話がかみ合いません。取り置いた日は、取り置きの行に書くだけにして、タチウオ6尾を売上に入れるのは、割烹ひさごが引き取った日です。

取り置いた品を、普通の在庫の数に入れたままにしない

取り置いた6尾を普通の在庫の13尾に入れたままにすると、帳面の上では、ほかの得意先に売れる品が13尾あるように見えます。別の担当がその数を見て、ほかの得意先にタチウオを7尾より多く売ってしまうと、割烹ひさごの6尾は店に揃いません。逆に、取り置いた6尾をどの行にも書かずに普通の在庫から引くだけにすると、店にある13尾と帳面の7尾が合わず、残りの6尾がどこへ行ったのか読めません。取り置いた6尾は、普通の在庫の7尾から外し、取り置きの行に、割烹ひさごの分として置きます。

取り置き先・品と数量・期限・引き取りか戻しかが、別の行で見えるか

取り置き先・品と数量・期限・引き取りか戻しかが、別の行で見えるか、が最後の確認です。店にある数と帳面の数が合っていても、取り置きの行に割烹ひさごが書かれていなければ、誰のための6尾なのか読めません。期限がなければ、いつまで普通の在庫から外しておくのか分かりません。引き取られたか、普通の在庫に戻したかが書かれていなければ、取り置きがまだ続いているのか、もう終わったのか、あとで見た人には分かりません。

見るものは、次の四つです。文言は図と同じです。

取り置き先・品と数量・期限・引き取りか戻しかが、別の行で見えるか

  1. 誰の取り置きか
  2. どの品をいくつ取り置いたか
  3. いつまで取り置くか
  4. 引き取られたか、普通の在庫に戻したか

例では、帳面に、普通の在庫の行としてタチウオ7尾があり、別に置いた取り置きの行として割烹ひさご、タチウオ6尾、取り置き分の品代14,820円、期限2026-10-27があり、最後に引き取り済みか、普通の在庫に戻したかが書き添えてあるかです。判断のポイントは、店にある数と帳面の数が合うかどうかではありません。取り置き先、品と数量、期限、取り置きの終わり方が、普通の在庫や売上と別の行で読めるかです。

小さく始めるなら

取り置きの決まりづくりも、過去の取り置きの洗い出しも、あとです。まずは、いま店にある取り置き一件だけを置きます。

  1. 取り置きの行を立て、誰の取り置きかを書きます。例なら、割烹ひさごです。
  2. 同じ行に、どの品をいくつ取り置いたかと、取り置き分の品代を書きます。例なら、タチウオ6尾、取り置き分の品代14,820円です。
  3. 同じ行に、いつまで取り置くかを書きます。例なら、期限2026-10-27です。
  4. 検算します。店のタチウオ13尾から取り置いた6尾を引くと、普通の在庫は13−6=7尾です。取り置き分の品代は2,470×6=14,820円です。
  5. 取り置きが終わったら、取り置きの行は消さずに書き添えます。引き取られたら引き取られた日と「引き取り済み」を書き、その日にタチウオ6尾を売上に入れます。普通の在庫に戻したら戻した日と「普通の在庫に戻した」を書き、タチウオ6尾を普通の在庫に足します。

この五つで、割烹ひさごの取り置きは、取り置き先、品と数量、期限、引き取りか戻しかが、普通の在庫や売上とは別の行で読めるようになります。

取り置きや在庫の残し方を揃えたい場合は、紙やExcelを残したまま、現状の流れを一緒に確認できます。お問い合わせから、課題整理としてご相談ください。

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