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いちばのみらい
市場会計

水産仲卸の加工賃|さばきや切り身を引き受けたとき、品代と分けて請求に残す

水産仲卸でさばきや切り身を引き受けたとき、加工賃を品代に含めず、どの品にどんな加工をしたか、加工賃はいくらか、品は自社が売ったものか得意先の持ち込みかを分けて請求に残す見方を整理します。

約8分 いちばのみらい編集部

得意先から「この魚を三枚におろして届けてほしい」「切り身にしておいてほしい」と頼まれ、自社がさばきを引き受けることがあります。さばいたのは自社で、その手間の代金が加工賃です。ところが請求書を開くと、品の値段とさばきの代金が一つの金額にまとまっていて、いくらが品代で、いくらが加工賃なのか読めないことがあります。得意先が自分で持ってきた魚をさばいた分まで、品を売ったように書かれていることもあります。丸魚をおろしたあとに目方がどう変わり、帳面の数量をどの時点で持つかは、水産仲卸の歩留まり|丸魚で仕入れておろしたあと、帳面の数量をどの時点の目方で持つかです。重さと数量の話で、加工の代金をどう請求に残すかではありません。加工したあとの品を在庫としてどう持つかは、1匹で仕入れたタイは、1匹のまま売れるとは限らないです。在庫の考え方の話で、ここでは入りません。箱代や氷代は、水産仲卸の箱代|魚代とは別に立つ箱代を、請求で見失わないです。品を運ぶための付帯料金で、品に手を加えた代金である加工賃とは別物です。得意先の品を自社で預かっておく話は、水産仲卸の預かり在庫|得意先の品を預かっているとき、自社在庫と何を分けて残すかです。持ち込まれた品をさばくまで置いておく扱いには、ここでは入りません。この記事で見るのは、さばきや切り身を引き受けたとき、加工賃を品代と分けてどう請求に残すかです。

加工賃は品代に含めず、どの品にどんな加工をしたか、加工賃はいくらか、品は自社が売ったものか得意先の持ち込みかの三つを分けて残す、です。人が雑だから混ざるのではありません。さばきの注文は品の注文と一緒に来ることが多く、受けた人は「スズキ1尾、三枚おろしで」と一続きで覚えます。そのまま一つの金額で伝票に書けば、得意先が払う額としては合っています。けれども、品代と加工賃が一つになっていると、あとで得意先から「魚はいくらで、さばき代はいくらだったのか」と聞かれたときに答えられません。品代は自社が売った品の代金です。加工賃は自社がした加工の代金です。請求額は、この二つを足して得意先に請求する額で、どちらか一方の金額ではありません。

さばきや切り身を引き受けたとき、加工賃を品代と分けてどう請求に残すか

さばきや切り身を引き受けたとき、加工賃を品代と分けてどう請求に残すか

さばきや切り身を引き受けたとき、加工賃を品代と分けてどう請求に残すか、がこの作業です。見るのは、加工賃をいくらにするかでも、さばき方の良し悪しでもありません。自社の伝票と請求で、品代の行と加工賃の行が分かれ、どんな加工をしたかが言葉で書かれ、その品が自社の売ったものか得意先の持ち込みかが読めるかです。受けた人が「いぶきさんのスズキは、さばき代込みだった」と覚えていても、伝票に書かれていなければ、月末には誰にも分かりません。

数字で見ます。2026-10-22の朝、自社は得意先の和食処いぶきから、スズキ1尾を三枚おろしにして届けてほしいという注文を受けました。スズキは自社が仕入れて持っていた品で、自社がそれを和食処いぶきに売ります。伝票番号はD-1022-03です。

伝票D-1022-03には、行を二つ立てます。一つめは品の行で、スズキ1尾、品代4,730円です。この4,730円は、自社が和食処いぶきに売ったスズキの代金で、さばきの代金は入っていません。二つめは加工の行で、スズキ1尾、三枚おろし、加工賃580円、品の出どころ「自社が売った品」と書きます。この580円は、自社がスズキをおろした手間の代金で、スズキそのものの代金ではありません。

和食処いぶきへの請求額(品代+加工賃)は、4,730+580=5,310円です。和食処いぶきはこの5,310円を自社に払い、自社が受け取ります。5,310円は請求額で、品代でも加工賃でもありません。検算は、請求額5,310円から加工賃580円を引くと品代4,730円になり、品の行の金額と合います。

同じ三枚おろしを、和食処いぶきが自分で持ち込んだスズキで受けた場合は、品代は立たず、請求額は加工賃580円だけです。持ち込まれたスズキは和食処いぶきの物で、自社は仕入れてもいなければ売ってもいないからです。

判断のポイントは、加工賃の決め方や、さばきの段取りではありません。歩留まり、加工品の在庫、箱代・氷代、預かり在庫の話にも入りません。見るのは、品代と加工賃を一つの金額にまとめず、どの品にどんな加工をしたか、加工賃がいくらか、品が誰の物だったかが伝票と請求で読めることです。

加工賃を、品代に含めない

悪い例を一つ見ます。伝票D-1022-03に、自社の事務が「スズキ1尾(三枚おろし)5,310円」と一行だけ書いたとします。和食処いぶきが払う額は合っています。けれども、この書き方では、5,310円が品代に見えます。スズキ1尾の値段が5,310円だったように読め、さばきの代金580円が入っていることは伝票のどこにも出てきません。あとで別の日に和食処いぶきが丸のままのスズキを頼んだとき、値段が下がったように見えて、問い合わせが来ることもあります。品代4,730円の行と、加工賃580円の行は、分けて書きます。

持ち込み品は、品代を立てない

得意先が持ち込んだ品をさばいたときは、伝票に品代の行を立てません。品は得意先の物のままで、自社が売ったのではないからです。加工の行に、品名と数、加工の中身、加工賃、品の出どころ「得意先の持ち込み」を書き、請求は加工賃だけにします。持ち込み品に品代を立ててしまうと、自社が仕入れてもいない品を得意先に売ったように見え、得意先は自分の魚の代金を自社に払う形になってしまいます。反対に、自社が売った品なのに出どころを書かずにおくと、品代の行が抜けていても気づけません。

加工の中身・加工賃・品の出どころが、別の行で見えるか

加工の中身・加工賃・品の出どころが、別の行で見えるか、が最後の確認です。請求額が合っていても、加工の行に「三枚おろし」がなければ、580円が何の代金なのか読めません。加工賃の行がなければ、さばきを引き受けたことそのものが伝票に出てきません。品の出どころがなければ、品代の行がないのが持ち込みだからなのか、書き漏れなのか分かりません。

見るものは、次の三つです。文言は図と同じです。

加工の中身・加工賃・品の出どころが、別の行で見えるか

  1. どの品にどんな加工をしたか
  2. 加工賃はいくらか
  3. 品は自社が売ったものか得意先の持ち込みか

例では、伝票D-1022-03に、品の行としてスズキ1尾、品代4,730円があり、加工の行としてスズキ1尾、三枚おろし、加工賃580円、品の出どころ「自社が売った品」があり、和食処いぶきへの請求額(品代+加工賃)が5,310円になっているかです。判断のポイントは、請求額が合うかどうかではありません。品代、加工賃、品の出どころが、役割の違う行で読めるかです。

小さく始めるなら

全得意先の過去の伝票の洗い直しも、伝票の様式の作り替えも、あとです。まずは、今日さばきを引き受けた注文一件だけを置きます。

  1. 品の行を書きます。自社が売った品なら、品名と数と品代です。例なら、スズキ1尾、品代4,730円です。得意先の持ち込みなら、この行は立てません。
  2. 加工の行を別に書き、どの品にどんな加工をしたかを言葉で書きます。例なら、スズキ1尾、三枚おろしです。
  3. 同じ加工の行に、加工賃と品の出どころを書きます。例なら、加工賃580円、自社が売った品です。
  4. 請求額(品代+加工賃)を出します。例なら、4,730+580=5,310円です。持ち込みなら、請求額は加工賃だけです。
  5. 検算します。請求額5,310円から加工賃580円を引くと品代4,730円になり、品の行と合うかを見ます。

この五つで、伝票D-1022-03は、加工の中身、加工賃、品の出どころが別々の行で読めるようになります。

さばきや切り身を引き受けたときの書き方を揃えたい場合は、紙やExcelを残したまま、現状の流れを一緒に確認できます。お問い合わせから、課題整理としてご相談ください。

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