本文へ移動
いちばのみらい
市場会計

水産仲卸の社販|従業員に店の魚を売ったとき、得意先への売上や自家消費と何を分けて残すか

水産仲卸で従業員に店の魚を売ったとき、社販を得意先への売上にも自家消費にも混ぜず、誰に何を売ったか、売値と仕入値、代金をいつどう受け取ったかを分けて残す見方を整理します。

約8分 いちばのみらい編集部

店の魚を、従業員が買って帰ることがあります。売るのは店で、代金を払うのは従業員です。その場で現金をもらうこともあれば、給料日にまとめて精算することもあります。ところが帳面を開くと、従業員に売った分が、得意先への売上の中に混ざっていたり、代金を取らずに持ち帰ったりまかないに使ったりした分(自家消費)と同じ書き方になっていたりします。得意先に出したサービス品の残し方は、水産仲卸のサービス品|得意先に出したサービス品を、売上や値引きとどう分けて残すかです。得意先に出した分の話で、従業員に代金をもらって売る社販の話には入りません。同じ得意先で現金と掛けが混ざるときは、水産仲卸の現金掛売|同じ得意先で現金と掛けが混ざるとき、何を分けて残すかです。得意先への現金売りと掛売りの話で、従業員への売りの話には入りません。自家消費の残し方は、水産仲卸の自家消費|店の品を店主や家族が持ち帰ったときや、まかないに使ったとき、売上や廃棄と何を分けて残すかです。代金を受け取らない分の話で、ここでは従業員から代金を受け取る社販だけを見ます。その日の仕入と売上の差は、水産仲卸の粗利|その日の仕入と売上の差がなぜ夜まで分からないのかです。その日の粗利が夜まで分からない理由の話です。ここでは、社販の粗利の出し方には入りません。この記事で見るのは、従業員に店の魚を売ったとき、得意先への売上や自家消費と何を分けて残すかです。

社販を、得意先への売上にも自家消費にも混ぜず、誰に、どの品を、いくらで売ったか、仕入値はいくらか、代金をいつどう受け取ったかを、別に残す、です。人が雑だから混ざるのではありません。従業員への売りは、毎日の得意先への売りより数が少なく、買う人も売り場で顔を合わせる人です。その場で値段を決めて渡してしまうので、帳面に書く場所が決まっていないことが多いのです。書く場所がないと、得意先の売上に足されるか、自家消費の分として数えられるか、どちらかに寄ってしまいます。社販は、店が従業員から代金を受け取る売りです。得意先への売りとも、自家消費とも、役割が別です。

従業員に店の魚を売ったとき、得意先への売上や自家消費と何を分けて残すか

従業員に店の魚を売ったとき、得意先への売上や自家消費と何を分けて残すか

従業員に店の魚を売ったとき、得意先への売上や自家消費と何を分けて残すか、がこの作業です。見るのは、社販の値段をいくらにするかや、社販をやるかどうかではありません。店の帳面で、社販の行に、売った相手と品、売値と仕入値、代金の受け取りが別々に書かれ、得意先の売上の行とも、自家消費の分の行とも混ざっていないかです。売った人が「内田さんにアマダイを売った」と覚えていても、帳面に書かれていなければ、その人がいない日には誰にも分かりません。

数字で見ます。2026-07-14に、店は従業員の内田さんにアマダイ8尾を売りました。社販の売値(1尾あたりの値段)は2,800円です。この魚を店が仕入れたときの仕入値(1尾あたり、店が払った値段)は2,350円です。代金は、給料日の2026-07-25に精算することにしました。

売った日の2026-07-14に計算します。社販の売値の合計は、社販の売値2,800円が8尾分で、2,800×8=22,400円です。仕入値の合計は、仕入値2,350円が8尾分で、2,350×8=18,800円です。この日、店は内田さんから代金をまだ受け取っていません。受け取る予定の代金は、社販の売値の合計と同じ22,400円で、受け取る日は2026-07-25と決めました。

給料日の2026-07-25に、店は内田さんから代金22,400円を受け取りました。これが受け取った代金です。受け取る予定の代金も22,400円で、この件は約束した額がそのまま入ったので、二つが同じ数字になっています。けれども、受け取る予定の代金は売った日に決めた額で、受け取った代金は店が実際に受け取った額です。受け取る予定の代金22,400円から受け取った代金22,400円を引くと、22,400−22,400=0円で、まだ受け取っていない代金はありません。

売った日の2026-07-14に、帳面に書くものは三つです。一つめは社販の行で、2026-07-14、内田さん、アマダイ8尾、社販の売値2,800円、と書きます。二つめは仕入値の欄で、仕入値2,350円、仕入値の合計18,800円と書きます。三つめは代金の欄で、受け取る予定の代金22,400円、受け取る日2026-07-25、給料日精算、と書き、受け取った代金の欄は空けておきます。2026-07-25に代金を受け取ったら、受け取った代金の欄に、受け取った日2026-07-25と受け取った代金22,400円を書き添えます。その場で現金を受け取る社販なら、売った日に受け取った日と受け取った代金を書けばよいので、受け取る予定の欄は要りません。会計上の扱いは税理士に確認してください。

判断のポイントは、社販の値段の決め方や、給料日精算のやり方ではありません。得意先への売りの話にも、自家消費の分の話にも入りません。見るのは、社販を得意先への売上にも自家消費にも混ぜず、売った相手と品、売値と仕入値、代金の受け取りが、店の帳面で読めることです。

社販を得意先の売上に入れない

悪い例を一つ見ます。内田さんに売ったアマダイ8尾を、店が、内田さんを得意先の一人として登録し、得意先の売上の行に社販の売値の合計22,400円を書いたとします。得意先の売上の一覧では、売った額と書いた額が合います。けれども、その一覧を見た人は、内田さんが従業員であることも、これが社販であることも分かりません。得意先の売上として数えると、得意先への売りの集計が、実際より22,400円ぶん多く見えます。社販は得意先の売上の行には書かず、社販の行に書きます。

社販を自家消費に回さない

もう一つの悪い例です。内田さんに売ったアマダイ8尾を、店が、自家消費と同じ欄に、在庫が8尾減った記録として書いたとします。在庫の減りは合います。けれども、店は内田さんから代金22,400円を受け取っています。自家消費として数えると、受け取った代金の行き先が帳面から読めなくなります。社販は、在庫が減った記録として自家消費の欄に書かず、代金を受け取った売りとして、社販の行に書きます。

売った相手と品・売値と仕入値・代金の受け取り方が、別の行で見えるか

売った相手と品・売値と仕入値・代金の受け取り方が、別の行で見えるか、が最後の確認です。在庫の減りが合っていても、社販の行に内田さんの名前がなければ、誰に売ったのか読めません。売値だけが書かれていて仕入値がなければ、店がいくらで仕入れた魚を売ったのか読めません。代金の欄がなければ、受け取る予定なのか、もう受け取ったのかが分かりません。

見るものは、次の三つです。文言は図と同じです。

売った相手と品・売値と仕入値・代金の受け取り方が、別の行で見えるか

  1. 誰に、どの品を、何尾売ったか
  2. 社販の売値と仕入値はいくらか
  3. 代金をいつ、どう受け取ったか

例では、帳面に、社販の行として2026-07-14、内田さん、アマダイ8尾、があり、社販の売値2,800円と仕入値2,350円の欄があり、代金の欄に受け取る予定の代金22,400円、給料日精算、受け取った日2026-07-25、受け取った代金22,400円があるかです。判断のポイントは、在庫の減りが合うかどうかではありません。売った相手と品、売値と仕入値、代金の受け取りが、役割の違う欄で読めるかです。

小さく始めるなら

社販の決まりづくりも、過去の従業員への売りの洗い出しも、あとです。まずは、いま従業員に売った魚一件だけを置きます。

  1. 売った時点で、社販の行を書きます。例なら、2026-07-14、内田さん、アマダイ8尾、です。得意先の売上の行にも、自家消費の分の行にも書きません。
  2. 社販の売値と仕入値を書きます。例なら、社販の売値2,800円、仕入値2,350円です。
  3. 代金の受け取り方を書きます。給料日精算なら、受け取る予定の代金22,400円、受け取る日2026-07-25です。その場の現金なら、受け取った日と受け取った代金を、そのまま書きます。
  4. 検算します。2,800×8=22,400円、2,350×8=18,800円で、受け取る予定の代金22,400円が、社販の売値の合計22,400円と合うかを確かめます。
  5. 代金を受け取ったら、社販の行に、受け取った日と受け取った代金を書き添えます。例なら、2026-07-25、受け取った代金22,400円です。

この五つで、内田さんへの社販は、売った相手と品、売値と仕入値、代金の受け取りが、得意先の売上とも自家消費の分とも別の行で読めるようになります。

従業員に売った魚の残し方を揃えたい場合は、紙やExcelを残したまま、現状の流れを一緒に確認できます。お問い合わせから、課題整理としてご相談ください。

おすすめの記事

この記事について、現場の声をお寄せください

いちばのみらいは、市場に関わる方々の経験や問いから育てていくメディアです。記事への感想、取り上げてほしいテーマ、現場で感じていることがあればお知らせください。