水産仲卸の代替わり|得意先が代替わりしたとき、前の代との取引と何を分けて残すか
得意先の店主が替わったときに、前の代の売掛や締め日を新しい代の取引に混ぜず、切り替え日と引き継いだ残高を帳面の別の行に置いておく見方を、検算できる数字の例で整理します。
得意先の店主が替わったときに、前の代の売掛や締め日を新しい代の取引に混ぜず、切り替え日と引き継いだ残高を帳面の別の行に置いておく見方を、検算できる数字の例で整理します。
得意先の店で、親から子へ、あるいは先代から新しい店主へ代が替わることがあります。屋号も店の場所も同じまま、相手だけが替わるので、帳面では同じ得意先の行が続いていきます。あとで帳面を開くと、代替わりの前に残っていた売掛と、新しい代になってからの売上が一つの残高に足されていて、どこからが新しい代の取引なのか分からないことがあります。請求の宛名と振込み名義が食い違うときの名前の持ち方は、水産仲卸の屋号|請求の宛名と振込み名義が食い違うとき、何を残すかです。屋号と登記名をセットで持つ話で、代替わりの話ではありません。届けた店と請求書を出す先が違うときは、水産仲卸の請求先|届けた店と、請求書を出す先が違うとき、何を残すかです。届け先と請求先の組み合わせの話ではありません。請求したあとの残高を誰がどう追うかは、水産仲卸の売掛金|請求したあと、残高を誰がどう追うかです。残高の追い方そのものではありません。得意先ごとに単価が違うときの残し方は、水産仲卸の得意先単価|同じ品でも得意先ごとに単価が違うとき、何を残すかです。単価の持ち方ではありません。得意先ごとの掛け上限は、水産仲卸の掛け限度|得意先ごとの掛け上限を、誰が何を見て止めているかです。掛け上限の止め方でもありません。どれも近い場所にありますが、ここでは深掘りしません。今回は、得意先の代替わりだけです。この記事で見るのは、得意先が代替わりしたとき、前の代との取引と何を分けて残すかです。
代替わり前の売掛・取引条件を新しい代の取引と混ぜず、切り替え日と引き継いだ残高を分けて残す、です。人が雑だから混ざるのではありません。屋号も配達先も変わらないので、帳場から見れば、同じ店に同じように魚を届けているだけです。けれども帳面の上では、前の代と取引していた期間と、新しい代と取引している期間があります。前の代の売掛は、切り替え日より前に自社が売って、前の代から受け取る分です。新しい代の売上は、切り替え日からあとに自社が売った分です。引き継いだ残高は、前の代の売掛のうち、得意先とのあいだで決めたとおりに新しい代の行へ移して置く分です。取引条件は、締め日や支払日のように、どちらの代と決めたものかで変わることがあります。切り替え日を書かずに一つの行で続けると、前の代の残高が新しい代の売上と同じ残高に見えます。前の代の締め日を新しい代にそのまま書き写すと、新しい代と決めた条件が見えなくなります。現場で困るのは、あとで「先代のときの分はいくら残っていたか」と聞かれたときに、合計の残高しか出てこず、どこまでが前の代の分なのか答えられないことです。
得意先が代替わりしたとき、前の代との取引と何を分けて残すか、がこの作業です。見るのは、代替わりをどう受け止めるかでも、店との付き合い方でもありません。切り替え日を境に、前の代の残高の行、引き継いだ残高の行、新しい代の取引の行が分かれているかです。帳場が「まつ田さんは十月から息子さんの代」と知っていても、事務の帳面に切り替え日が書かれていなければ、あとから九月の売掛と十月の売上が同じ残高に見えます。
数字で見ます。得意先は寿司処まつ田です。切り替え日は2026-10-01で、この日から新しい代との取引になりました。切り替え日の前日、2026-09-30の時点で、前の代の売掛の残高は93,640円です。93,640円は前の代の残高で、新しい代の売上ではありません。2026-10-05に、前の代の分として38,920円の振込がありました。38,920円は前の代の売掛に対する入金で、新しい代の取引ではありません。前の代の残高から入金を引くと、93,640−38,920=54,720円です。残った54,720円は、得意先とのあいだで決めたとおり、新しい代へ引き継いだ残高として置きます。前の代の行には、2026-10-06に「54,720円を新しい代へ移した」と移した日を書き、前の代の行の残りは0円にします。
ここで、93,640円と54,720円の役割を分けます。93,640円は、切り替え前日の時点の前の代の残高です。54,720円は、そのうち前の代の入金のあとに残り、新しい代へ引き継いだ残高です。同じ前の代の売掛から出た数字ですが、時点も置く行も違います。2026-10-06に新しい代の行へ移したあとは、前の代の行には移した日と「54,720円を新しい代へ移した」の一言が書かれ、前の代の行の残りは0円になります。93,640円を、新しい代へ引き継いだ残高として書きません。54,720円を、切り替え前日の前の代の残高として書くこともしません。
切り替え日からあとの取引も置きます。2026-10-01から2026-10-10までに、新しい代へ売った魚の売上は47,260円です。47,260円は新しい代の切り替え後の売上で、引き継いだ残高ではありません。新しい代の名前の下に見える売掛は、引き継いだ残高54,720円の行と、切り替え後の売上47,260円の行の二行です。合計は54,720+47,260=101,980円です。101,980円は二行を足した合計で、新しい代の売上ではありません。今出す請求に引き継いだ残高も載せるなら、得意先と決めたとおり、切り替え後の売上とは別の行にします。
取引条件も、どちらの代と決めたものかを分けます。たとえば、前の代とは月末締めで、新しい代とは20日締めに変えた、ということがあります。前の代の残高の行には前の代の条件を、新しい代の行には新しい代と決めた条件を書きます。
判断のポイントは、代替わりの手続きや、前の代の売掛を誰が払うかの決め方ではありません。それは得意先とのあいだで決めることで、ここでは決まったとおりに帳面へ置くところだけを見ます。屋号と登記名、届け先と請求先、残高の追い方、得意先単価、掛け上限の話にも入りません。見るのは、代替わり前の売掛・取引条件を新しい代の取引と混ぜず、切り替え日と引き継いだ残高を分けて残すことです。切り替え日が書かれ、前の代の残高・前の代の入金・引き継いだ残高・新しい代の売上がそれぞれの行にあれば足ります。
代替わりのあとも同じ得意先の行に書き続けると、前の代の残高に新しい代の売上がそのまま足されていきます。例で、2026-09-30の93,640円に、十月の売上47,260円を足して140,900円の残高にすると、前の代の入金38,920円をどこから引いたのかも、引き継いだのがいくらなのかも見えなくなります。140,900−38,920=101,980で合計は合いますが、合計が合うことと、前の代の分と新しい代の分が見えることは別です。前の代の残高93,640円と入金38,920円は前の代の行で、54,720円を移したあとの前の代の行の残りは0円です。引き継いだ残高54,720円と切り替え後の売上47,260円は新しい代の行です。行の名前を入れ替える話ではありません。切り替え日の前に売った分と、あとに売った分を、同じ行にしないということです。
切り替え日が帳面にないと、どの売上がどちらの代の分か、日付から判断できません。2026-10-01という切り替え日を、得意先の行の頭に書いておきます。取引条件も同じです。前の代の月末締めを新しい代の行にそのまま写すと、新しい代と決めた20日締めが帳面に出てきません。逆に、新しい代の20日締めを前の代の残高の行に当てはめると、前の代と決めていた期日が分からなくなります。前の代の残高の行には前の代の条件を、新しい代の行には新しい代と決めた条件を、切り替え日と一緒に置きます。
前の代の残高・切り替え日・新しい代の取引が、別の行で見えるか、が最後の確認です。新しい代の合計101,980円が得意先の控えと合っていても、切り替え日2026-10-01が見えなければ、どこまでが前の代の分か分かりません。引き継いだ残高54,720円が見えても、もとになった前の代の残高93,640円と入金38,920円が見えなければ、なぜ54,720円なのかを説明できません。
見るものは、次の三つです。文言は図と同じです。
例では、寿司処まつ田について、切り替え日2026-10-01、前の代の残高93,640円(2026-09-30時点)、前の代の入金38,920円(2026-10-05)、引き継いだ残高54,720円、新しい代の切り替え後の売上47,260円(2026-10-01から2026-10-10)が、それぞれ別の行で並んでいるかです。93,640円は前の代の残高で、引き継いだ残高ではありません。101,980円は新しい代の二行の合計で、新しい代の売上ではありません。判断のポイントは、得意先の行の数ではありません。前の代と取引していた分と、新しい代と取引している分が、切り替え日を境に役割の違う行で並んでいるかです。
代替わりの手続きの説明には入りません。見るのは、切り替え日の前と後の、帳面の行です。
全得意先の代替わりの一覧も、帳面の作り替えも、あとです。まずは、いま代が替わった一店だけを置きます。
この五つのあとで、前の代の売掛は切り替え日の前の行として、新しい代の取引は切り替え日からの行として見えます。
得意先の代替わりのあとの帳面の分け方を揃えたい場合は、紙やExcelを残したまま、現状の流れを一緒に確認できます。お問い合わせから、課題整理としてご相談ください。
得意先から渡された指定伝票で魚を納めるときに、その紙を自社の売上控えの代わりにせず、どちらを元に書いたかと指定伝票の番号を自社の控えに書き添えて、売上を一度だけ数える見方を整理します。
得意先から請求書をなくしたと言われて出し直すときに、中身の変わらない再発行を新しい請求や訂正と分け、元の請求番号と再発行日と理由を紐づけて、売上を一度だけ数える見方を整理します。
得意先に頼まれて先に払った運賃や他店の品代を、自社の売上や粗利に入れず、立て替えた相手と金額と根拠を別の行に置いたまま今出す請求に載せる見方を、数字の例で整理します。